慢性心不全の治療、運動指導

心不全は急性増悪を繰り返しながら徐々に心機能が悪化して死に至る予後不良の疾患である。当院では心不全を再発させないように投薬治療を行い、BNP値、心エコーで心機能を把握し、トレッドミル負荷心エコーで①冠狭窄の早期発見②心機能に応じた運動を指導する。などで心不全や心筋梗塞を再発させないように、再発の可能性があれば早めに基幹病院へ紹介するなど工夫して診療を行っています。

慢性心不全の実例

急性心筋梗塞
#3、#7完全閉塞、#13亜閉塞の重度3枝病変、心不全で入院、その後、冠動脈バイパス術施行
術後早期に発作性心房細動出現、アミオダロン・抗凝固剤開始
発症後1ヶ月目に当院へ転院
心エコー
左室拡張あり、心尖部壁運動なく、左室全体に壁運動低下し、左室駆出率:42.0% GLPS:-8.6%と収縮力は著明に低下。BNP:399.7pg/mlと高値


BNP高いのでDPP4からSGLT2に変更、BNP:98.9pg/mlまで改善
5ヶ月後心エコー 左室駆出率:41.0% GLPS:-11.4% (収縮力は少し改善)



職場復帰 できるだけ1日30分間のウォーキングを勧めた

11か月目心エコー 左室駆出率:45.0% GLPS:-14.1% 少し改善



職場復帰後も症状なく。ウォーキングで息切れや胸痛の自覚はなく経過
1年6か月目トレッドミル負荷心エコー

安静時
左室駆出率:44% GLS:-14.8%(収縮力がさらに少し改善)


負荷後
左室駆出率:48% GLS:-18.9%に改善した


運動負荷後にGLSが改善しているので経過は良好と判断。冠動脈造影検査も再検の必要はなくトレッドミル負荷心エコーで経過観察とした。