進歩する心エコー技術
心エコーでは、難しかった狭心症の責任冠動脈領域の診断が、ついに可能になりました。心エコー歴40年。2005年から冠動脈エコー、左心室カラーキネシス法、運動負荷心エコーによる狭心症の診断を⾏ってまいりましたが、狭心症と診断できるものの責任冠動脈領域の特定は困難でした。
2017年7月に新しく導入した心エコー装置によるGlobal Longitudinal Strain(GLS)により、その診断が可能になりました。
狭心症はもとより、心筋梗塞、心筋疾患、弁膜症、心不全などの心疾患の早期発見、治療方針の決定、経過観察に心エコーは大変有用な検査です。
当院の心エコー技術
- GE社製、最上位機種VividE95を使⽤
- 2DスペックルトラッキングによるGLSをブルズアイ表示することにより狭心症、心筋梗塞、心筋疾患が視覚的にわかりやすくなりました。
- 狭心症の診断は運動負荷心エコーで冠動脈狭窄の有無、責任冠動脈領域を診断します。
- 動脈硬化の程度や経過観察は頚動脈エコーで診断します。
- 造影剤を使わない検査なので腎機能が悪い⽅も安心して検査が受けられます。
最新の心エコー装置
GE社製VividE95では、心尖部から記録した左室長軸断面図を2Dスペックルトラッキング法で得られたLongitudinalStrain(LS)を3方向から記録し、コンピューター処理3次元化して左室全体のStrain値を円形のブルズアイを表示してGlobal Longitudinal strain(GSL)が得られます。
GSLでStrainのpeak値を赤色で表示し、Strainのpeakが少し遅延することがあり遅延の程度をpost systolic index(PSI)として算出し、その領域を薄青色で表示する。 strainのpeak値は収縮力を表し、収縮力が強いほど赤色が濃くなる。 PSI値が大きくなることは収縮peakが正常領域よりも遅延していることを表し、虚血により生じた心筋の壁運動遅延を表す。虚血が強いほどPSI値が高く青色が濃くなる。 壁運動の収縮遅延は狭心症による虚血以外でも認められるので他の心疾患と十分鑑別しながら診断しています。
冠動脈
(心筋を栄養する血管)
ブルズアイ表示と
冠動脈の関係
GSLのブルズアイ表示 正常例
表示
左室全体の
収縮⼒を表示
正常値は
濃い⾚⾊で表示
表示
左室壁運動の
異常を表示
正常であれば
薄い青色で表示